研究科長からのメッセージ

 経済学は、社会全体の仕組みを幅広く学ぶ学問です。人やモノ・サービス、お金などが社会でどう動くかを分析し、どうすれば幸福で豊かな暮らしができるのかを考えます。人々や企業はどのような意思決定を行い、取引を通じて互いにどう影響し合うか、そして一国の経済あるいは世界経済が全体としてどのように動くかを経済学では解明します。その意味で、経済学は、実社会とのつながりが最も深い学問といえるでしょう。
 現代の日本経済、海外経済をとりまく環境はめまぐるしく変化し、さまざまな課題に直面しています。経済学の知見を使って社会全体を俯瞰し、問題を設定する目を養い、解決に向けた方策を自ら考えることは、現代を生き抜く力となります。

 神戸大学経済学部・経済学研究科は、我が国で最も伝統ある経済学教育・研究拠点の1つです。1902年(明治35年)設立の神戸高等商業学校を母体とする経済学部は120年の歴史を有し、開学以来の「真摯・自由・協同」の精神のもと、実に多くの有為な人材を実業界、政官界などに輩出してきました。卒業生・修了生によって組織されている「凌霜会」など同窓生の人的ネットワークも充実しています。

 現在、経済学部・経済学研究科は、約50名という国内最大規模のスタッフ陣で構成されています。経済学の諸分野を網羅する8大講座(グループ)を擁し、伝統的な基幹分野(理論分析、歴史分析、計量・統計分析)はもとより、現代の課題を扱う応用分野(技術・環境分析、産業・社会政策、金融・公共政策)、さらにはグローバル経済や米中欧アジアなど各国地域を分析する分野(国際経済政策、比較経済政策)など、幅広く多様な教育・研究体制を整えています。学部のカリキュラムは、基礎から応用へと段階的に効果的に学習できるよう体系的な教育システムとなっています。また2018年からは、経済学を学ぶ上で重要な資質である数学と英語の能力に秀でた人材を育てることを狙いとして、数学選抜、英数選抜、総合選抜という新しい入試制度を導入しています。  

 学生の国際的な交流が盛んなことも、経済学部・経済学研究科の大きな特徴です。2013年にスタートしたIFEEK(5年一貫経済学国際教育プログラム、International Five-year Economics Education Program at Kobe)では、海外協定大学での留学を組み合わせ、英語で経済学の専門的知識が習得可能です。IFEEKは、学部入学から大学院博士課程前期課程まで最短5年間で修了するプログラムです。大学院博士課程前期課程ではすべての講義が英語で行われるGMAP(Global Master Program)が設けられおり、2023年からは経営学研究科、法学研究科との連携をより強化したプログラムへと進化していきます。また経済学と法学の学際的な領域を深く学んでいく法経連携専門教育プログラムも整備されています。  

 この恵まれた教育・研究環境で、皆さんと共に学ぶことを楽しみにしております。

経済学研究科長・経済学部長
宮尾 龍蔵