深く、そして広く。体系的カリキュラム
神戸大学経済学部では、体系的カリキュラムにより、4年間で段階的に入門レベルから上級レベルまで経済学を学ぶことができます。1年生では、経済学を学ぶ上での基礎となる必須科目(初年次セミナー、基礎演習、初級経済学、経済学のフロンティア、経済史、統計学、中級ミクロ経済学)を受講します。特に初年次セミナーと基礎演習は30名程度のクラスに分かれて、経済学部の教員が、それぞれの専門分野の知識をもとに知的好奇心を刺激しつつ、新鮮な気持ちで経済学の学習に入っていけるように指導します。入学直後から経済学部の教員と直接コンタクトをとることによって、自分自身の経済学へのアプローチを描くことができるのです。さらに、1年生・2年生では、全学共通授業科目の中の外国語、健康・スポーツ科学、基礎・総合教養科目(法学、政治学など)、共通専門基礎科目(線形代数入門1、2、微分積分入門1、2など)を履修し、専門科目に必要な基礎知識や幅広い教養を修得できます。専門科目の履修は2年生から本格的に始まり、経済学のほぼすべての分野についての講義を受講できるほか、経営学部、法学部や他の学部の専門科目の中から皆さんが関心を持った分野の講義を幅広く履修できます。また、様々な特別教育プログラムやコースが用意されており、自分の興味に応じて専門性・学際性・国際性を身につけることができます。
個性を生かす少人数教育
潜在的な能力を引き出すために
3年生からは、希望する教授の下で研究指導(ゼミ)が始まり、専門書の輪読や共同研究などを行います。さらに4年生の1年間は、自らが選んだテーマについて個別研究発表を行い、卒業論文を作成します。経済学部では、定員を少人数(1学年10名程度)に限定し、きめ細やかな指導と学生同士の討論によって、専門的知識やプレゼンテーションのスキルを養っています。また、ゼミの合宿や旅行、懇親会などを通じて、教授と学生という枠を超えた社会人同士の付き合いも可能になります。教授や先輩、後輩、OB・OGなどゼミを通じた出会いは、学生生活を一層充実させてくれる貴重なものとなるでしょう。
ゼミ一例紹介
橋野 知子 ゼミ
近現代日本経済史
ゼミは、学問を通じて人格的な交流ができる、大学特有の場です。橋野ゼミでは、ティーム・ワークをはぐくみつつ、優れた卒業論文を書くことを目標にしています。「論文を書く」というと、孤独な作業のように思われるかもしれませんが、論文の書き方、テーマ探しから卒論の提出まで、みんなで協力し合って成し遂げています。協力とは?それは、ゼミの誰かが報告したら、みんなでたくさんの質問やアイディアを出し合うことです。お互いに議論を重ねると、一人一人の研究が良くなっていきます。そこで、卒論の資料や文献探しには、図書館が不可欠です。ゼミでは、社会科学系図書館の方にお願いし、毎年3回生は「図書館ツアー」をしています。恵まれた研究環境を実感でき、研究に弾みがつくようです。
藤岡 秀英 ゼミ
社会政策・福祉の経済社会学
平成の市町村合併」のなかで、夢前町は姫路市に合併されました。その結果、小学校の統廃合、幼稚園の廃園、神姫バスへの補助金削減による減便が進み、山之内地区の人口は半減しています。その実態を明らかにするため、各集落の自治会長と一緒に訪問調査を実施しました。「ニッセイ財団」の助成を受け、本調査の成果は、経済社会学会での報告と学部生の卒業研究につながっています。
伝統の三大学対抗ゼミ
ゼミの研究成果を発表する場として、「三大学対抗ゼミ(三商大ゼミ)」が毎年行われています。これは旧制商科大学を前身とする神戸大学・一橋大学・大阪市立大学の「旧三商大」で行われる伝統の討論会です。ここでは各ゼミが共通のテーマに沿った研究を発表し合い、討論します。教授の助言を受けながらも、学生自身で論文を完成させた時に得られる達成感と充実感は、ゼミならではのものです。また討論会の場は、各ゼミがお互いに負けまいとする非常に白熱したものになります。こうした経験や、大学を越えた出会いは自らに刺激を与え、必ず成長の糧になると思います。
ゼミ活動の集大成:卒業論文
多くの大学で卒業論文が課されなくなっている中、神戸大学経済学部は、卒業論文を2年間の研究指導の集大成として非常に重視しています。これは経済のグローバル化が進み、国際的に通じる論理を持って自己の考えを主張することが求められている今こそ、高度な調査、分析、論理構築を必要とする卒業論文の作成が重要な訓練になると考えるからです。