総合コースで経済学の研究者を目指す場合、前期課程2年間と後期課程3年間からなる5年一貫のカリキュラムとなります。前期課程2年間では所定の単位数(30単位以上)の講義・演習(ゼミ)・特殊研究(第2ゼミ)などを履修し、修士論文を作成します。後期課程進学後は、研究指導を通して論文を執筆し、学会報告や経済学の専門誌に論文投稿などを行い、博士論文を作成します。

講義
選択必修科目の中で、ミクロ経済学、マクロ経済学、計量経済学に関する計12単位の授業を研究者志望者向けに設定しています。さらに、分析ツールを習得するための科目から、さまざまな分野の高度な専門科目まで、幅広い講義科目を選択することができます。また、学外から数名の非常勤講師を毎年招いています。これは現在学界で議論されている話題性のある専門分野を紹介するもので、研究科学生のニーズに応えています。
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六甲フォーラム
研究者養成の柱として演習とともに重要なものが共同研究・教育のためのワークショップ「六甲フォーラム」です。
「六甲フォーラム」は複数のフォーラムで構成され、本研究科の全ての分野をカバーしています。フォーラムの主たる目的は次の二つです。一つは、演習の一環として博士課程後期課程の研究科学生と研究科教員が参加し、研究科学生の皆さんの研究報告に対して複数教員による組織的指導を行い、各自の研究課題が博士論文に結実するよう支援することです。もう一つは国内外の研究者を招聘し、講演・講義をしてもらうことによって、研究科学生の皆さんに最先端の経済学に触れてもらうことです。「六甲フォーラム」は毎月複数回開催されており、研究科学生にとって大きな刺激となっています。
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演習(ゼミ)
本研究科の特徴は、ゼミを通じたきめ細かい研究指導が行われていることです。前期課程の入学後、研究科学生はそれぞれ特定の教員のゼミに所属し、前期課程・後期課程を通じて、基本文献の読み方から始まって、研究報告を通じての論文指導や学会報告のリハーサルまで、時には厳しい指導によって、研究者の卵として鍛えられていきます。前期課程では基本文献の輪読と修士論文の作成のための研究報告が、また後期課程では博士論文作成のための個人研究報告が中心となります。また特殊研究(第2ゼミ)を履修して、指導教員以外の教員からも研究指導を受けることができます。
修士論文と博士論文
研究者としての第一歩は修士論文の作成から始まります。修士論文は大学院に入学して初めて執筆する本格的な論文で、将来の研究方向をある程度決めることになる論文です。論文の作成は、1年目のテーマの決定、2年目の「修士論文公開セミナー」を経て修士論文の提出へと進んでいきます。
博士号の取得は経済学の研究を生涯の仕事とする研究者にとって一つの“事業”です。博士号は、「研究者として自立して研究活動を行うに必要な高度の研究能力及びその基礎となる豊かな学識を有するものに授与する」(大学院設置基準第4条)と規定されています。
博士号には課程博士と論文博士がありますが、皆さんが取得を目指すものは課程博士です。課程博士は、前期課程を修了し、後期課程に3年以上在学して所定の単位を修得し、学力試験2分野に合格していれば、博士論文を提出して審査を請求できます。本研究科では、1988年度に第1号の課程博士が誕生して以来、日本人199名、外国人117名(令和5年4月現在)の卒業生が課程博士を取得しています。
最近の博士論文テーマ
- 組織における人事評価制度のゲーム理論による分析
- 18世紀後半ザクセン繊維産業における技術変化
- 日本における地域最低賃金と労働市場-雇用と貧困への影響の視点から
- 日本におけるグループ内・グループ間賃金格差の研究―タスク・アプローチによる検証
- 経済組織としての信用金庫
- An Empirical Analysis of Relationship between Energy market and BRICS’ s Currencies(エネルギー市場とBRICS の為替市場の関係に関する実証分析)
- Bank Organization and Competition, the Benefits of Relationship Banking, and Monetary Transmission Mechanism: Based on the Micro Perspective in Japan and China
- Dynamic inefficiency, over-savings, and saving resilience
- Empirical Studies on Intrahousehold Allovation of Time and Consumption in Japan
- Empirical Studies on the Impacts of Policies for Renewable Energy
- Essays on Dynamic Trade, Educational Choices, and Income Distribution
- The Empirical Economics of Inequality