教員紹介

[特別功労者] 加藤 弘之 (1955.9.5~2016.8.30)

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加藤 弘之 KATO Hiroyuki 教授

加藤 弘之

研究テーマ
  • 私の研究テーマは、制度に焦点を当てて、中国の経済システムの独自性を分析することです。最新の研究成果は、『中国経済学入門ー曖昧な制度はいかに機能しているか』(名古屋大学出版会、2016年3月)です。この著作で私は、「曖昧な制度」をキーワードとして中国経済の運行メカニズムに現れているユニークさを分析しました。中国経済学とは、少し大仰な表現ですが、中国事情の紹介に止まっていた「中国経済論」を突破し、「中国経済学」への橋渡しをしたいと願いが込められています。
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講義・ゼミの内容

【担当経験のある科目】
(大学院講義)
加藤弘之『「曖昧な制度」としての中国型資本主義』(NTT出版、2013年)をテキストにして、藤井大輔(大阪経済大学専任講師)と共同で講義を行う。

 

【学部ゼミ】
3回生は、中国経済に関する著作を輪読する。
4回生は、中国経済に関して各自が選んだ研究テーマをもとに、卒論を作成する。

 

【大学院ゼミ】
各人の研究テーマに基づき、修士論文を作成する。

メッセージ

中国はいまや米国につぐ世界第二位の経済力を持ち、日本にとってもかけがえのない大切な隣国である。とはいえ、中国に関する国内外の報道を見ると、いまにも中国が日本経済を押しつぶそうとしているかのような「中国脅威論」がある一方、環境問題や所得格差の拡大、共産党一党独裁による政治的権利の抑圧など、中国経済がいまにもハードクラッシュするかのような「中国崩壊論」もある。はたしてどちらの中国が本当の中国なのだろうか。中国経済の実情は、欧米や日本など先進国の基準から見ると、どうにも理解しがたいところがあり、そのことが両極端に分かれる俗論が横行する理由の一つだろう。中国経済の実態を客観的に分析し、その特徴を明らかにするためには、長い歴史的伝統や社会主義の実験を経て、しだいに明らかになりつつある経済システムの独自性に注目する必要がある。さらにいえば、中国の独自性にとことんこだわることを通じて、経済システムの多様性についての新たな地平が拓かれるのではないだろうか。

 

 


司馬台あたりの万里の長城を散策する2006年頃の私。
研究仲間が還暦記念に贈ってくれました。


主要業績
  • 単著、中国の経済発展と市場化ー改革開放時代の検証、名古屋大学出版会、1997年。
  • 共著、東アジア長期経済統計12 中国、勁草書房、2002年(陳光輝)。
  • 単著、シリーズ現代中国研究6 地域の発展、名古屋大学出版会、2003年。
  • 共著、進化する中国の資本主義、岩波書店、2009年(久保亨)。
  • 共編著、現代中国経済論、ミネルヴァ書房、2011年(上原一慶)。
  • 編著、中国長江デルタの都市化と産業集積、勁草書房、2012年。
  • 共著、21世紀の中国 経済編:国家資本主義の光と影、朝日新聞出版、2013年(渡邉真理子、大橋英夫)。
  • 単著、「曖昧な制度」としての中国型資本主義、NTT出版、2013年。
  • 単著、中国経済学入門ー「曖昧な制度」はいかに機能しているか、名古屋大学出版会、2016年。
  • 共編著、二重の罠を超えて進む中国型資本主義ー「曖昧な制度」の実証分析、ミネルヴァ書房、2016年(梶谷懐)。
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